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要らない空家の実家・別荘地の無料相談・東京一番親切安心・不動産鑑定士飯田一無料相談03-3984-2333

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不動産記事 以下記事転載

以下記事転載

 

2016.10.13

 連載

牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

タワーマンション購入の悲劇…25年前の郊外戸建て購入者がたどった悲劇の再来か

文=牧野知弘/オラガ総研代表取締役

【この記事のキーワード】

タワーマンション不動産価格住宅ローン

http://biz-journal.jp/2016/10/post_16881.html

『それでも家を買いました』(矢崎葉子太田出版

山村夫妻の住宅探し


 平成バブルの頃まで、新興戸建て住宅地は庶民の憧れの街だった。「とにかく郊外でも家を持ちたい」という憧れは、誰しもが抱く自然な欲望だったのだ。この辺の事情をよく表しているのが、1991年4月から6月、TBS系列で放映された連続テレビドラマ『それでも家を買いました』だ。

 このドラマは矢崎葉子原作、主人公山村浩子(田中美佐子)と新婚の夫、山村雄介(三上博史)が社内結婚後、神戸から神奈川に転勤、社宅に住みだすものの、複雑な人間関係を嫌気して住宅を探し出すという物語である。

 折しも時代は地価高騰期、初めは横浜の東部エリアで探そうとした山村夫妻は、あまりに高い住宅価格に驚愕しながら、次第に横浜市西部の奥地に家を求めてさまよい始める。夫妻は泉区の緑園都市近辺も探すが、200倍を超える倍率の抽選に当たらなかったり、価格が高すぎたりして希望の住宅に巡り合うことができない。

 そして、流れ流れて最後に到達するのが、神奈川県津久井郡城山町の戸建て分譲地だ。この地は今では平成の大合併相模原市城山町となっているが、ドラマでは最寄り駅がJR横浜線相原駅から「三ケ木操車場」行きのバスで20分という設定。夫の雄介は原チャリで駅までの道を急ぐが、どうみても会社までの通勤は2時間以上かかる。

 ドラマはここで終わるのだが、主人公のこうした滑稽とも思われる住宅探しは、実は一般庶民ではごくありふれた光景だった。日本のサラリーマンはそうまでしても「住宅を買わなければならない」状況にあり、過大な住宅ローンを組んででも、とにかく住宅を買わなければ一生住宅を持つことはできないと、当時は誰しもが信じていたのだ。

 今、残念ながら相模原市城山町が通勤のための住宅地として発展を続け、不動産価格が高騰しているという話は聞かない。もし山村夫妻が現実の人だったとしたら、その後の人生はどうなっているのだろうか。

 実際には、こうした人たちは世の中にたくさんいる。住宅探しをしていたのが30歳前後とすれば、あれから25年の時がすぎた。今、50歳過ぎの夫婦とその家族に起こっている現実とはなんだろうか。

ニュータウンは黄昏れて

 
 2013年1月、新潮社から刊行された小説、垣谷美雨著『ニュータウンは黄昏れて』には、バブル時代に一生懸命取得したニュータウンにある団地に住む一家のその後を描いていて興味深い。

織部一家は、バブル絶頂期に家探しに奔走し、都心まで遠いニュータウンの中の中古団地を買う。駅からはもちろんバス便。購入価格は当時で5200万円。4200万円で30年ローンを組んだものの、夫の勤めるソフトウェア会社はその後、吸収合併の憂き目にあい、夫はリストラで役職を降格、給料は激減となってしまう。

 二人の子供のうち、長男は大学を卒業し高校の先生になるのだが、妹は学費を教育ローンで補わなければならず、卒業した今は正規雇用につけずにフリーター、教育ローンの返済原資が滞る事態になっている。

 夫は住宅ローンの支払いができず、妻は弁当屋でパートアルバイトをしながらなんとか生活を続けている。恨まれるのが、あの頃、住宅神話を信じ切って多額のローンで家を買ってしまったことだ。団地の価格は暴落。売りに出したところで買手もいない。住宅価格は暴落しても、ローン残高は暴落してくれない。
 
 この話は、現在のニュータウンの抱える実情を活写している。管理組合や自治会が高齢化して、大規模修繕や建替えなどが不可能であるさまを描き、高齢者が中心となる共同体で生じるさまざまな問題にも光を当てている。

 さて、この話を91年のドラマ『それでも家を買いました』の山村夫妻に当てはめると、どんなドラマができあがるのだろうか。

 山村夫妻も今は50代だ。91年に購入した城山町を舞台に、もう一度登場してもらうことにしよう。

 夫婦はおそらく城山町に新居を構えたのち、2人くらい子供(長男・長女)をもうけている。子供たちは大学を卒業、または在学中。これは『ニュータウンは黄昏れて』のストーリーとまったく一致する。

 山村雄介の会社は比較的規模の大きい製造業だった。その後の日本経済の盛衰のなかで、倒産や中国企業に吸収合併されていてもおかしくはない。子供たちの就職は、彼らバブル世代とはまったく事情が異なる氷河期。長男は時代を反映して引き籠もりから就職できずにフリーターに。長女はお父さんがリストラの憂き目にあい、泣く泣く教育ローンで大学へ。夜は教育ローンの返済のために居酒屋でアルバイト。

 さて、山村雄介は何を想うのだろうか。輝かしかったバブルの絶頂期に、完全に信じ込んでいた「住宅神話」。うまくいくはずだった人生が、会社からはリストラ。もはや50代では新たな未来を展望できない。

城山の自宅はすでに築25年。家のあちらこちらに傷みが目立ってきた。それでも住宅ローンの返済すら覚束ないなかで、修繕なんてできやしない。城山に来てから専業主婦となっていた妻の浩子も、地元の介護施設で介護の仕事をして家計を支えるけれど、息子はフリーター、娘の学費すら出してやれない。

 なんの希望もなく、急速に老け込んでしまった雄介を、それでも性格は明るく挫けない、妻の浩子が笑顔で支える山村家、そんな姿が透けて見える。

 山村夫妻は何を間違えてしまったのだろうか。実は郊外戸建て住宅地には、このストーリーと重なる話が実に多い。不動産価格の高騰を享受できたのは戦中世代から団塊世代あたりまでといわれている。

 その後の世代、50年代後半から60年代前半生まれの人たちの多くが、「現在の山村夫妻」状態になっているのだ。彼らは親が残した郊外の実家の後始末とともに、自分が買った平成バブル時代の住宅ローンを延々と返済し続けなければならない辛い世代である。

25年後の世界を見据えよう


 このようにみてくると、25年という四半世紀の時の経過は、世の中の価値観を大きく変えているということに気がつく。ということは、これからの25年も、世の中の価値観は大きく変わっていく可能性があるのだということを考えざるを得ない。

“25年前(2015年)”に若々しかったタワーマンション購入者も、“今(40年)”は多くが高齢者世代に足を踏み入れようとしている。あの頃は、輝かしかったタワマンの建物も、かなり老朽化が進んでいる。

 管理組合からは、大規模修繕実施の議案が組合総会にかけられるが、議決できるだけの賛成が得られない。所有者は外国人、投資用として賃貸に出している投資家、そして新築時に購入した所有者。外国人所有者とは連絡がとれない、投資家も日本人の借り手がいないので外国人に貸している。なかには不法滞在者と思われるような輩もマンション内を跋扈している。

 修繕費も目をむくような高さだ。超高層マンションは足場を組めないので、ゴンドラ作業。200mを超える高さでは上層部は常時強風で、作業時間がほとんど確保できない、入居時は必須と思われた自家用発電機は、一度も使われないまま更新費用は数億円。

建物修繕積立金は新築時、戸当たり月額7000円でリーズナブルだったのが、今や5万円。ちなみに当時の販売担当者は、「タワマンは戸数が多いので一戸当たりの修繕費はお安くなるのです」と言っていた。さらに今回の修繕に当たっては、戸当たり100万円の追加負担。

 首都圏は20年を境に人口は減少、高齢化率は全国平均と同じ33%、消費は低迷したままのなか、資産価値は大幅下落。住宅ローン残高が大きく残る世帯には到底負担できない額。

 このままではタワマンごとスラム化の道をまっしぐら。こんな事態が都内の各処で引き起こされているのかもしれない。

 その頃、『ニュータウンは黄昏れて』ならぬ『タワマンの末路』という小説が、売れているかもしれない。
(文=牧野知弘/オラガ総研代表取締役

  • 牧野知弘(まきの・ともひろ)
    オラガ総研代表取締役。金融・経営コンサルティング不動産運用から証券化まで、幅広いキャリアを持つ。 また、三井ガーデンホテルにおいてホテルの企画・運営にもかかわり、経営改善、リノベーション事業、コスト削減等を実践。ホテル事業を不動産運用の一環と位置付け、「不動産のなかで最も運用の難しい事業のひとつ」であるホテル事業を、その根本から見直し、複眼的視点でクライアントの悩みにこたえる。

 

 

 

2016.03.12

 マネー

家なんて200%買ってはいけない!資産価値ゼロ、賃貸より多額の負担…危険な取引

構成=小野貴史/経済ジャーナリスト

【この記事のキーワード】

マンション住宅ローン空き家

http://biz-journal.jp/2016/03/post_14196.html

 

経済評論家の上念司氏

 日銀のマイナス金利導入による住宅ローン金利低下を受け、「住宅は今が買いどき」という論調も強くなる一方、各種税金・手数料の負担や資産価値の低下、多額の修繕費発生など持家のリスクに関する指摘も多い。「持家か賃貸か」というテーマはこれまで多くのメディアでも取り上げられ、「永遠のテーマ」ともいえる。


 そこで今回は、1月に『家なんて200%買ってはいけない!』(きこ書房)を上梓した経済評論家の上念司氏に、

「持家により発生する大きなリスク」
「総支払い額は、賃貸より持家のほうが大きくなる」
「日本人の“持家信仰”の間違い」
マンションバブル崩壊の可能性」

 などについて聞いた。

『家なんて200%買ってはいけない!』(上念司/きこ書房)

「空き家率は将来、40%になる」 「今後は誰もがタダで家を手に入れられる」 「家賃のほうが、ローンの支払額より安い」 舌鋒鋭い経済評論家、上念司が自らの体験談を交え、初めて語るマイホーム本! 人口減少、少子高齢化、IT技術の発達、土地神話の崩壊、災害や不正工事リスク……あらゆる状況は今後、日本の不動産に「持つ価値がない」ことを示している。一軒家や分譲マンションにもはや資産価値はなく、購入にはリスクしかない。いまだ多くの人が持っている「マイホームという幻想」を叩き潰し、不動産業界の悪魔たちの甘言を退ける福音の書。

 

―「住宅を買ってはいけない」理由は、なんでしょうか。

上念司氏(以下、上念) 新築物件には新築プレミアムが乗っているため、入居した翌日には2割ぐらい値下がりします。戸建ては築20年で資産価値がゼロになります。どんなにリフォームをしても資産価値はゼロです。持家派の考えや不動産業者の言い分は「家賃を払い続けても何も残らないが、ローンなら資産が残る」という主旨ですが、現実には資産として残りません。

 もちろん、ローンで買った家を人に貸して賃料で稼いで、20年経って資産価値がゼロになった時点で自分が住んで相続税をゼロで済ませる、というような賢いことをするなら問題ありません。

――ローンと家賃の支払いを比較すると、どちらのほうが少なくて済むのですか。

上念 ローンと家賃の支払総額をシミュレートすると、どうなるでしょうか。4000万円の家を頭金1000万円で購入し、ローンは35年、金利は1%、1.5%、1.7%の3パターンを想定し、修繕費は10年ごとに150万円と想定します。一方、賃貸は子育てに応じて1~10年目は15万円、11~26年目は20万円、子供が独立した27~35年目は10万円、2年ごとに更新料1カ月を想定します。

 すると、金利が1.7%になると購入と賃貸の支出がほぼ同額になりますが、購入の場合はローン手数料、売買仲介料、各種保険代などで400~500万円が上乗せされます。しかも、マンションの修繕積立金は、大規模な修繕が発生すれば値上がりする可能性があります。戸建てなら修繕積立金はありませんが、それでも通常の維持費や老朽化した時にリフォーム費用がかかります。つまり家を買うほうが支払総額が大きい上に、資産がゼロになってしまうため、買ったほうがよいという結論にはなりません。

――賃貸なら収入が減ったら住み替えればよいのですが、家を買うと、生活を切り詰めなければならないケースが多い。まして、会社員なら雇用リスクが付きものです。

上念 たとえば田園都市線の沿線には、多くのエリート層の会社員が―戸建てを所有しています。50歳前後で子供が2人いるという平均的な家庭を例にしてみましょう。この沿線の一戸建ては高額なので、ローンの支払いは年間200万円前後でしょう。

 しかも、この沿線の住民は教育水準が高く、子供は2人とも私立に入れた場合、年間の学費は2人分で200万円前後になると思います。ローンと学費で年間に約400万円かかります。年収が1000万円あっても手取りは800万円程度なので、奥さんに収入がなければ、家族4人分の生活費は400万円しか残りません。

 収入が増えた分、支出も増えるという生活をしていては“貧乏父さん”になりかねません。さらに50歳前後という年齢からして、リストラの対象になる段階です。実際、こういう人は少なくありません。

FX取引より危険


――不動産証券化をきっかけに、不動産は金融商品に変化しました。それ以降、家を買うことは金融商品を買うことになったのですが、持家派にその認識はないでしょう。

上念 ないでしょうね。都心の新築マンションを賃貸した場合、利回りは年4%程度に低下しました。マンションを買うということは、この利回りで、きわめて流動性の低いマンションという商品に対して、自己資金の何倍ものレバレッジをかけて数千万円を1点投資するのと同じです。FX取引よりも、よっぽど危険な取引ですよ。FXなら損失が出たらすぐに売れますが、住宅は流動性が低くそうはいきませんから。

 しかも、金融商品として高い利回りを出せる土地は、すでにREIT不動産投資信託)として証券化されています。お金に余裕があるのなら、REITを買って、毎月(または隔月、半年払いなど)振り込まれる分配金を家賃の足しにして賃貸に住むことが現実的です。

――どうして、多くの人がその現実に気づかないのですか。

上念 FXなどと違って、元本が変動していることが見えないからです。家を買うという金融取引は、買った時点で2割程度値下がりし、そこからスタートします。しかし流動性が低いので、元本の現在値が見えません。

 売らない限りは、買った時の価値が保たれていると思い込んでいて、売る時になって初めて元本が毀損されていることを知り、愕然とするわけです。マンションの場合、駅からの徒歩時間と間取りぐらいしか評価されず、大手不動産会社の物件でもブランド価値はありません。

変化に対応できなくなる


――では、中古住宅や中古マンションを買うのはどうなのでしょう。

上念 消耗品を買うようなもので、いずれ想定以上の修繕費がかさんでくるでしょう。新潟県湯沢町のリゾートマンションと同じです。湯沢町のリゾートマンションは安い物件なら20~30万円で買えますが、毎月の管理費が3~10万円もかかります。

――“持家信仰”と言われるように、家を買うことは金銭的な損得を超えた精神的な行為ですね。

上念 家を買うという考え方は宗教と同じです。投資家でベストセラー『金持ち父さん 貧乏父さん』の著者であるロバート・キヨサキ氏は「金持ちはお金を出して資産を買う。貧乏人はお金を出して負債を買う」と言いましたが、まさに神の言葉です。

 そもそも土地神話が生まれたのは、戦後になってからです。背景は新築物件をどんどんつくる業者が増えたことです。結局、土地神話を一生懸命支える人と、それに釣られてしがみつく人がいるので、不健全な状態が続いてしまったのです。

 しかし、空き家がこれだけ増えてくるとさすがに土地神話は崩壊すると思います。そもそも、家さえあればなんとかなるという発想が間違っているのです。

――信仰や神話になってしまうと、いくら経済を理解しても修正できませんね。

上念 もはや宗教なので理詰めの説得は無理です。大損しないことには気づきません。かく言う私も20代の時には土地神話にこだわっていて、大手ハウスメーカーの注文住宅を5000万円で買いました。そして3年半で売却した時に、約1000万円の損失を出すという経験をしました。トイレを1階と2階に設置して、床暖房を付けたのですが、評価されたのは築年数と間取りと駅からの徒歩時間のみで、住宅市場の実態を学びました。

 私は「俺は騙されていたんだ!」と大損して初めて気づいたのです。家を売ったのは33歳の時で、そこから持ち直して今があるのです。ところが、大抵の人は60歳や70歳になって家に価値がないことに気づいて、愕然とするわけです。30~40代の人は、持家のリスクに今気がつけば、まだやり直しができます。もう終身雇用はとっくに終わりました。いまは、変化に対する復元力が求められます。しかし、家を買ってしまうと変化に対応できなくなります。

――転勤した時に、持家を定期借家にする人もいます。

上念 悪あがきですね。定期借家にしても期限が3年だったりするので、多くの場合は借り手が見つかりません。


老人でも住むところには困らない


――家を買う理由のひとつに、定年後に毎月家賃を払い続けるのは大変だから、定年前に住宅ローンを払い終えてスッキリしたいという心理があります。

上念 しかし、かりに退職金で残りのローンを返済したらどうなるでしょうか。もともとローンの支払いで貯金が少ない上に、新築して20年が過ぎて資産価値を失った不動産を抱えたまま、老後の資金もなくなってしまいます。

 以前は「老人には賃貸しない」という大家もいましたが、人口減少の時代に、そんなことをしたら賃貸収入を得られなくなります。これからは、老人でも住むところには困らなくなるでしょう。

――持家が増えるのは、ローンを貸し付ける銀行にも問題があるでしょう。

上念 銀行はローン申込者のリスク審査能力がないため、上場企業に勤めていて終身雇用っぽい人にはどんどん貸し付けます。ところが、その人がリーマンショックなどで失業したり、子会社に転籍させられて給料が下がったりして返済が滞った時に、初めてリスクに気づくのです。

――たぶん不動産会社の社員や銀行員は、持家の経済的なリスクを理解していると思います。彼ら自身の家は、持家と賃貸のどちらが多いのでしょうか。

上念 統計がないので詳しいことはわかりませんが、不動産会社の社員自身が土地神話に騙されていますし、また彼らには周囲の空気に弱い人が多いので、持家が多いのではないでしょうか。銀行員については、保守的で横並び志向が強いので、持家が多いでしょう。行員対象の優遇金利を使って家を買い、得をしたと思っているのではないでしょうか。じつはリスクを抱え込んでしまっているのですが。

――欧米では、会社員の住宅は持家と賃貸のどちらが主流になっていますか。

上念 持家が多いのですが、それは中古市場が発達していることが背景になっています。日本の住宅市場の中古比率は14%ですが、アメリカは90%、イギリスに至っては84%を占めています。欧米の人は家をリフォームして、買った時よりも高く売るのが一般的です。彼らは住宅をハコとしてとらえ、リフォームする際にも標準的な間取りにして、流通しやすいようにしています。

 一方、日本ではテレビ番組でよく紹介されるように、その時の家族構成やライフスタイルに合わせてカスタマイズし過ぎた家を作るため、流通価値がなくなってしまうのです。

マンションバブル崩壊の危険も


――日本では、これから人口が減少していくなかで住宅は供給過剰になっていきますね。

上念 野村総合研究所の計算によると、2040年に空き家率が40%になるそうです。空き家には登録制度がないので正確な数字は把握できませんが、いろいろなサンプル調査から割り出すと現在の空き家率は全国平均13%で、都心のワンルームマンションでは空室率が28%に達しています。

――それでも、オリンピック景気を煽って東京の臨海地区ではマンションの建設ラッシュが続いています。オリンピック後に約6000戸の選手村が民間に分譲されますが、これが滞るようだと、一気に市況が悪化するのではないでしょうか。

上念 港南、芝浦から築地、勝どき、晴海、豊洲、月島、辰巳、東雲あたりにかけてのベルト地帯には、タワーマンションが増えてマンションバブルが起きています。将来的にこれは大きな爆弾になると思います。オリンピック後に市況が悪化すれば、マンションバブルが崩壊し、このエリアは全滅してブラックホールになる可能性もあります。

――こうした供給過剰に対して、国土交通省は需給バランスを調整する政策を打たないのですか。

上念 国交省は、住宅メーカーと不動産会社に新築物件をどんどんつくらせて儲けさせてきました。この方針は変わらないでしょう。ただ、市場メカニズムが働いて、新築が売れなくなると、住宅メーカーはリフォームメーカーに転業するのではないでしょうか。「日経新聞」の記事によると、1969年以降、住宅に対する累計投資額と現在の資産価値を引くと500兆円あるそうです。500兆円の資産が失われ、住宅業者の懐に入ったわけで、まったくの無駄です。日本の住宅は単なる消費財になっています。

――家を買うことが損だとわかっていても、借家住まいでは不安だから、どうしても家が欲しいという人は多いでしょう。どうすればよいのですか。

上念 40坪程度の土地を親から相続するとか、田舎なので土地が二束三文で手に入るとか、あらかじめ貸家として建てて、家賃で建設費用の半額ぐらいを補填できるといった前提があるなら検討してもいいです。その前提で家を建てるなら選択肢はひとつ。「カーサキューブ」の注文住宅をオススメします。私の好みかもしれませんが、オシャレで防犯性にも優れ、低コスト。なんと、1400万~1900万円台で建てられます。『家なんて200%買ってはいけない!』の著者である私が勧めるのは矛盾しているかもしれませんが、どうしても家が欲しいのならカーサキューブしかないですね。
(構成=小野貴史/経済ジャーナリスト

 

 

2015.02.11

 連載

今は新築マンションを買うべきではない 過去の同クラスの5割高、将来価値暴落のリスク

文=松井克明/CFP http://biz-journal.jp/2015/02/post_8903.html

【この記事のキーワード】

デベロッパーマンション不動産

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「Thinkstock」より

新築マンションは買ったとたんに価値が2割下がる」――これは不動産業界では常識とされている。新築マンションにはマンションを開発したデベロッパのコストが上乗せされており、中古市場では高くとも新築価格の8割程度でしか売却できなくなるといわれてきた。

 その常識の真偽を確かめるため、データで検証しているのが、『住宅情報誌が書かない コワ~い不動産の話』別冊宝島取材班/宝島SUGOI文庫)だ。同書中の「首都圏・中古マンション騰落率調査(1997-2012) マンション資産価値が上がったエリア、下がったエリア 中古物件でも都心は値上がり、郊外では激落ち価格動向に二極化の動きが!」によれば、この直近1年に取引された中古マンションの価格を当該マンション新築時の価格と比較したところ、全エリア総合計では、新築時価格のほぼ2割減で取引されているのは2007年築の物件(-21%減)だ。つまり、7~8年前に建築された物件が、新築価格の8割で買えることになる。

 ただし07~08年は、マンションが「新価格」「新新価格」といわれる割高価格で売られていたプチバブルの時期だった。新築時に割高であれば、当然中古になると下落幅が大きくなる。これだけ大きくマンション価格が下落しているということは、ローン残高とマンション価格を比較した場合、含み損になっているといえる。事実上、債務超過になっている世帯も多いのではないだろうか。当時、マンション購買層の中心だったのは現在の40代で、本来ならば消費の中心となるはずの世代だ。このような状況では、消費がなかなか伸びないのも致し方ないところだろう。

 一方、03~05年築の物件は当時の新築価格が割安だったために下落幅が少なく、現在でも当時の8%減(03年)、8%減(04年)、9%減(05年)となっている。07年築以外で2割減となるのは、00年以前に建築された物件だ。

 この調査では行政区ごとの騰落率も掲載されているが、その明らかな特徴は、中古マンションはそのエリアの人気不人気の影響を受けやすく、行政区でも格差が目立っているという点だ。例えば、00年築物件で見ても現在の中古価格は、全エリア総合計で19%減だったが、千葉市稲毛区は50%減と下落幅が大きい。一方で、東京都中央区は9%増だ。つまり、資産価値が購入時よりも上昇しているのだ。中央区は、築地市場の移転に伴う再開発や、東京駅周辺の再開発の影響もあり、高層・高級マンションが増えており、投資マネーが流れ込んでいるため、資産価値を大きく押し上げている。

 同様に、資産価値がプラスになっているエリアは千代田区(5%増)、文京区(5%増)、港区(6%増)、目黒区(6%増)など、東京都心部エリアに集中しているのだ。

  • 今は買い時ではない


 今回の調査は、不動産マーケティング会社・スタイルアクトのデータによる。同社代表取締役沖有人氏が1月に上梓した『2018年までのマンション戦略バイブル』朝日新聞出版)の中でも中古マンション価格の下落幅についてふれており、「(一般的に)新築マンションが1年後に中古市場に出た場合、東京23区内の平均で5%程度、新築時より値下がりすることがわかった。これは東京に限っての話であり、埼玉県や千葉県の物件となると、その差は15%にも広がる。それだけ都内のマンションは値下がりしにくい」という。

 さらに沖氏は、「今は新築マンションを買うべきではない」と警告する。なぜなら建築費の高騰で「13年末頃に建築会社がデベロッパーに提示したマンション工事費は、11年3月の東日本大震災前の20%増しから、物件によっては50%増し」になっているからだ。つまり、現在の新築物件の価格は、過去数年に竣工した同クラスの物件と比べ、かなり割高になっているというのだ。

 裏を返せば、現在の新築物件は、近い将来大幅に値下がりする危険性が高いのだ。

「23区内で14年に分譲されたマンションが竣工から1年後に中古市場に出た場合、平均で10%以上の値下がりが発生することが予想できる。購入に必要な諸経費約2%を含めると、合計12%以上の損失が見込まれる」(沖氏)

 このように見てくると、マンションを購入するには、エリア選びと個別物件を見る目が欠かせないといえる。その物件を見る目を養う一助になるのが、中古不動産サイトの中古マンション価格だ。不動産情報サイト「Yahoo!不動産」は仲介業者も御用達であり、現在、中古市場で流通している中古マンション価格を把握することができる。また、スタイルアクトが運営するマンション価格サイト「住まいサーフィン」は、データの取れた中古マンションの時価を掲載しており、近隣の相場観を養うことができる。

 中古マンション購入を検討するならば、このようなウェブサイトなどを活用して目を肥やし、できるだけ資産価値下落幅の少ないエリアを選びたいものだ。
(文=松井克明/CFP)

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